遠藤登記測量事務所 土地家屋調査士 遠藤幸保 の日記
-
親名義の家を息子がリフォームする場合
2016.07.23
-
不動産稲門会の先輩から次のような相談がありました。
父親名義の家を息子が約2,000万円のローンを組み、間仕切りの変更・水回りの設備・階段の増設等のリフォームをして(一部増築)、それぞれが完全な独立した居宅とする計画があるが、贈与税の問題や建物登記の問題でどのようにしたらベストなのか教えてほしいというものでした。
そこで、色々と調べた結果は以下のとおりでした。
①父親名義の家に息子が資金を出してリフォームしても、民法でいうところの「附合」が生じたことになり、たとえ一部増築した部分も含め、父親の所有になる。
②リフォーム及び一部増築をしてそのまま父親の名義にしておくと、税務上は父親に贈与をしたとして取り扱われ、父親に贈与税が課される。
③従って、このような場合増築の登記をしてから、息子の名義を入れる登記をするのが一般的である。
④リフォームだけなら、床面積に変更はないのであるから、建物の評価の「リフォーム資金に見合う持分」を息子名義に変えてリフォームを行うことによって、父親に贈与税が課されることはなくなる。
⑤名義変更をしておけばその持分割合に応じて息子に住宅ローン減税が適用される。
⑥ただし、④の場合において、息子名義に変える方法がリフォーム代金相当額の売却対価で息子に譲渡して名義変更を行った場合、父親の譲渡所得税の課税が考えられ、逆に息子への贈与であるならば息子への贈与税の課税が考えられる。
⑦次に、余り現実的ではありませんが、建物すべてを息子名義に移転登記を行い、所有権を取得しておく方法が考えらる。
⑧⑦の場合でも2通りあり、売買(譲渡)する方法と贈与する方法が考えられる。
⑨売買(譲渡)する方法は、父親の譲渡所得税の課税が考えられが、贈与税と異なり、生じた所得の一律税負担で済むといった点でメリットが出やすくなり、建物が古くて評価額が比較的安いケースに適している。
⑩贈与する方法は贈与税を支払わなくて良い方法として「相続時精算課税制度」を利用する方法が考えられる。この制度は2,500万円以内であれば贈与税はかからないが、「贈与時」の価格で相続財産の計算に入れられるので、建物のように減価償却して年数が経つにつれて通常その評価が下がる場合には、総額の相続評価額を押し上げてしまうことになるので注意が必要である。
⑪最後にローンを組んでリフォームする場合、息子が持分を持っていれば、少なくとも増築部分には住宅用家屋証明書が発行され、抵当権設定登記の際に登録免許税の軽減を受けることができる。(借入額の4/1000→借入額の1/1000に軽減)
→その後の調査で、抵当権設定登記の際に登録免許税の軽減を受けるためには、住宅用家屋証明書が必要で、単なるリフォームであると住宅用家屋証明書の取得は難しく、増築部分が50㎡を超えると可能になる可能性があることがわかりました。(7/25改訂)
税金の問題が入り込んでくると専門外ですので、情報提供するに留めるつもりですが、こんなに複雑な問題点(選択肢)があると整理しないとわからなくなります。
あと区分建物の要件は備えているようですが、既存の建物の横に増築して区分建物になった場合は、はっきりとお薦めできますが、大部分がリフォームで一部増築の場合、それぞれの区分建物の持分として父親と息子が持つという方法もあるのでしょうが、余り相談者もそこまで大袈裟にしたくはないという意向のようですので今回は見送る方針です。
それにしても、身近で良く起こりそうなケースですがこんなにも色々な問題を含んでいるとは調べてみてびっくりしました。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
土地家屋調査士法人 山口事務所 →http://endo.han-jo.jp/
調査士ブログランキングに参加しています。
バナーが貼れませんので、下の「調査士ブログランキング」をクリックして応援してください。
調査士ブログランキング